Being
経営理念
「人と組織に、火を熾す。」
MISSION
1人1人のBeing〈あり方〉の火を熾す、守る、放つ。
vision
種火が熾きる。世界が変わる。
value
隣に座り、思い、聴き、言葉にして物語り、渡す。
そうして、誰かの自己理解が起こる場となる。
火と火守 をめぐる
ナラティブ
焚火が照らす現代
──
背後にみえる「つながり」への渇望
近年、焚火が静かなブームとなっている。キャンプ人気の高まりと並行して、「焚火だけをしに行く」人々や、都市の公園や公共空間で焚火を行う社会実験も注目されている。その象徴的な取り組みが、仙台市で行われた大石豊による「まちなか焚火プロジェクト」である。都市の一角に焚火台を設置し、人々が火を囲む。その姿は単なる娯楽ではなく、まちと人、人と人をつなぎ直す文化実践となっていた。
現代社会では、行き過ぎた効率性や生産性、情報量の過多の日々が、私たちの暮らしを形づくってきた。その結果として、他者との信頼関係をじっくりと構築する時間的な余裕や、感情のゆらぎに立ち止まる気持ちの余白が失われている。焚火は、そんな喧騒を一旦止める力を持つ。火を眺めることは、人間の進化の歴史の中でも太古から続く行為であり、火を囲むことは人類最古の「場づくり」とも言える。
焚火の前では、人は「話す」よりもまず「黙る」。この沈黙の共有こそが、現代人にとってのセラピー的価値を持つ。言葉を交わさなくとも通じ合える空間、それが焚火の場である。大石氏の実験では、世代も立場も異なる市民同士が、火を前にして自然と語り始め、時には深い対話に発展していったという。「語らされる」のではなく「語りたくなる」場、それが焚火なのだ。
焚火ブームの背景には、コロナ禍によって加速した「孤立」や「対面機会の喪失」もある。人との接触が制限された数年間、多くの人が自然と再接続する中で、火を囲むことが心身を癒す営みとして再評価された。また、焚火は「何も生産しない」時間であり、現代社会の価値観に対する静かな異議申し立てでもある。何かのためではなく「ただ在る」ことを肯定する時間。これは、ウェルビーイングの核心にもつながる感覚だ。
さらに、焚火は「ケア」と「対話」の文化を再生する。大石氏のプロジェクトでも、「火守」という役割が重要視された。火を起こし、絶やさず見守る者の存在によって、場の安心感が保たれる。これは、組織や地域においても同様である。変化を起こすための「火起こし」をしても、それを支える「火守」がいなければ、場の熱は持続しない。
焚火は単なる自然回帰でもレジャーでもない。そこには、人間が本来持っていた「火を囲む共同体」としての記憶が息づいている。焚火を囲むことで、私たちは「話す」前に「聴く」こと、「急ぐ」前に「立ち止まる」こと、「一人」である前に「ともに在る」ことを取り戻しているのかもしれない。
text by 中村一浩
会社概要
株式会社himori
代表取締役 大石豊
設 立 令和7年6月30日
資 本 金 320万円
事業内容
・企業と人の意思決定支援
・組織運営に関わる支援
・組織におけるコミュニケーションのデザイン
・組織のインナーブランディング
・採用/定着/育成支援
・エグゼクティブコーチング
・キャリアコンサルティング
・研修講師/ファシリテーション